南相馬市のキャッチフレーズといえば何でしょう?
 例えば・・・『南相馬市民の歌』には、「野馬追の里(原町区)」「万葉の里(鹿島区)」「紅梅の里(小高区)」という歌詞が出てきます。それぞれの地域の特色をよくあらわしたフレーズです。
 しかしここでは、「化石の里」というフレーズを推してみたいと思います。なるほど化石か!と思う人もいれば、なぜ化石?と思う人もいるかもしれません。ここでは、なぜ南相馬が「化石の里」なのかを紹介しましょう。

「化石の宝庫」南相馬

 まず、中学校・高校の理科の時間で勉強したことを少し思い出してみましょう。「地質時代」という用語はご存知でしょうか。
 地質時代は、長い地球の歴史の中で繰り返された生物の進化と絶滅を基準に、大きく4つに分けた時代区分のことです。

(1)先カンブリア時代・・・地球誕生~環境の変化、原生動物ら生命発展の時代。
(2)古生代・・・魚類・両生類の進化、生物が陸上に進出した時代。
(3)中生代・・・恐竜をはじめとした爬虫類の時代。
(4)新生代・・・哺乳類や鳥類の時代。
 この4つの「代」は、さらに紀・世・期に細分されています。

 とくに南相馬市は、生き物が多様に進化した、古生代・中生代・新生代というすべての地質年代の化石が採れる、知る人ぞ知る“化石の宝庫”です。一つの町でこれほど広い年代にわたる化石が採れる場所は、全国的にも多くはないと思います。
 生き物や地球環境の移り変わりを知ることができる、そんな贅沢なフィールドが、南相馬には広がっています。

化石が採れる地層

化石が産出する南相馬市内の地層分布
久保・柳沢ほか(1 9 9 0)

 南相馬市は、おおよそ西から東にかけて、順序良く古生代・中生代・新生代の地層がわかりやすく分布しています。

古生代の地層と化石

 古生代(5億4200万年~2億5100万年前)は、海の無脊椎動物が栄え、後半では魚類・両生類が発展し、陸上では藻類・シダ類などの植物が栄えた時代です。
 鹿島区・原町区の西部、真野川・上真野川上流域に分布している古生代の「相馬古生層(デボン紀~二畳紀)」は、古い順からデボン紀の合ノ沢層、石炭紀の真野層・立石層、二畳紀の上野層・大芦層・弓折沢層からなる地層群で、特に合ノ沢層(約3億6000万年前)は、福島県最古の化石が見つかることで知られ、近年は新種の腕足類が発見されています。
 また、三葉虫(真野層)や四射サンゴ(真野層・立石層)など、古生代を代表する生き物の化石が産出します。

リングアフィリップシア

リングアフィリップシア(三葉虫)
真野層 石炭紀 鹿島区上栃窪
八巻安夫標本

中生代の地層と化石

 中生代(2億5100万年~6550万年前)は、いわゆる「恐竜時代」です。陸上では恐竜や裸子植物が栄えて、海ではアンモナイト・二枚貝などが繁栄していました。
 「相馬中村層群(ジュラ紀中期~白亜紀初期)」は、古い順からジュラ紀の粟津層・山上層・栃窪層・富沢層、白亜紀の小山田層からなる地層群で、相馬市~南相馬市原町区の、ちょうど常磐自動車道に沿うように細長く分布しています。
 多様な化石が見つかることで知られていて、栃窪層(約1億5500万年前)からは新種のソテツ、中ノ沢層(約1億5000万年前)からは新種のアンモナイト、カニなど貴重な発見が相次ぎました。恐竜そのものはまだ見つかっていませんが、足跡が発見されているので、恐竜発見はそう遠くないかもしれません。

恐竜の足跡化石

恐竜の足跡化石
栃窪層 ジュラ紀後期
原町区信田沢 八巻安夫標本

ダルマシセラス・ムネオイ(平宗雄標本)

ダルマシセラス・ムネオイ
(アンモナイト)
小山田層 白亜紀初期
鹿島区小山田 平宗雄標本

新生代の地層と化石

 新生代(6550万年~現代)は、絶滅した恐竜に替わって哺乳類が繁栄した時代です。
 新生代の地層は、第三紀中新世の塩手層が双葉断層(常磐自動車道近くを走る活断層)西部に、第三紀鮮新世の竜の口層・向山層・大年寺層が双葉断層東部に、第四紀更新世の塚原層が小高区~原町区の海岸部に部分的に分布しています。
 双葉断層東側の丘陵地の大部分を占め、市内に広く分布する大年寺層(約300万年前)は、クジラやサメの歯、豊富な貝類といった、当時の海の生物の化石が多く発見されていて、市役所西側の水無川にかかる道場橋(原町区三島町)からは、体長およそ12~13mのハラマチクジラ(ヒゲクジラ類)の連続した脊椎骨が発見されています。

ハラマチクジラ

ハラマチクジラ(ヒゲクジラ類)脊椎骨

大年寺層 第三紀鮮新世 原町区三島町 南相馬市博物館蔵

南相馬の化石が大集合!

 1月19日から開催予定の特別展「相双地区の化石大集合!」では、今回チラッと紹介した化石をはじめ、古生代~中生代~新生代の南相馬の化石が一堂に集まります。
 私たちが想像もできない、はるか昔の生きものたちの化石から、太古のロマンを感じていただくとともに、私が推す南相馬市のフレーズ「化石の里」を実感していただければと思います。

(ふ)

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