【鷺内(さぎうち)遺跡 3000年前のクルミかご】オンラインギャラリートーク①
新型コロナウイルス感染症の影響で、6月13日までの特別展示の観覧を遠慮されている方、また、ご都合がつかない方も多いと思います。
せっかくの特別展示ですので、実際にご覧いただけない方に、オンラインギャラリートークとして、この特別展示を10回にわけて紹介していきます。
まずは第1回目です。
『水が湧く穴、溜まる穴』
鷺内(さぎうち)遺跡の発掘調査中、クルミが穴の中からまとまって出土しました。これは何かに包まれているかもしれないと思い、これを土ごと取り上げ、そのまま文化財整理室内に持ち帰りました。これをひっくり返し、反対側から丁寧に土を外していくと、クルミが詰まったかごが見事な保存状態で発見されました。たいへんな驚きをもったのはいうまでもありません。
このように、クルミかごは、水が湧く、溜まる穴から出土しましたが、そもそも、かごが入っていた穴とは何に使われていたのでしょうか?
実はその研究はまだ途中です。これらの穴は低地性貯蔵穴と呼ばれることもありますが、木の実などの貯蔵だけに限定されて使われているものではなさそうです。また、このような穴は縄文時代のいつでも、どんな地域でも見つかるものではありません。
福島県では、現在の事例からすると、縄文時代の終わり頃に出現するようです。その出現には、縄文人の水の使い方や木の実等の処理方法など、さまざまなことが関係するように思います。鷺内遺跡の調査では、ドングリの種類や量の分析のほか、花粉や昆虫化石の分析まで行い、その実態に迫りたいと考えています。
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更新日:2021年05月27日