その60 イノハナというキノコ(令和元年11月1日)

更新日:2019年11月01日

ピンク、オレンジ色メインのバックに馬、男の子、モミジ、キノコなどが並ぶ帯状の画像

実り多き秋は美味しいものがたくさん。くだもの、野菜、キノコなど種類も豊富で目移りしますね。

少し時期が過ぎてしまいましたが、南相馬の秋の象徴的なキノコといえば「イノハナ」です。南相馬市周辺では、キンモクセイの匂いがしてくるとイノハナが出る頃だといわれています。

茶色くカサの大きなキノコを手に持った写真

「イノハナ」とは、イボタケ目マツバハリタケ科コウタケというキノコで、一般的にはコウタケ(香茸、皮茸、革茸)、シシタケ(鹿茸)と呼ばれています。

「イノハナ」はこの地方の方言です。薄茶色のカサの表面は黒っぽいトゲ状のササクレで覆われ、不気味な風体です。この見た目がイノシシの鼻のようなので「イノハナ(猪鼻)」の名が付いたとされます。

地面の上に茶色の大きなキノコが6,7個置いてある
黒いササクレが表面にたくさんついた茶色いキノコ

コウタケ(香茸)という名前に象徴されるように、このキノコの一番の特徴は「香り」です。独特の強い芳香は醤油に例えられることもしばしばありますが、醤油とはまた違った何とも言えぬ香ばしさがあります。「香りマツタケ、味シメジ」とよく言いますが、イノハナは香りと味を兼ね備えたキノコなので、この地域ではマツタケを上回る人気を誇ります。出回ることは滅多にありませんが、市場に出たら高値のつく高級食材です。キノコ採りが好きな人にとって、一度は採ってみたい憧れのキノコでもあります。香り、味、価格、人気からして、イノハナはキング・オブ・キノコに最も近い?のかもしれませんね。

イノハナは乾燥させるとさらに香りが強くなるので、通常は生のまま使わず、乾燥させたものを利用します。生のまま天ぷらや炒め物にすることもありますが、それはたくさん採れた場合です。なかなか巡り合えないイノハナは乾燥したものを保存しておき、お正月やお祝い事などのハレの日に食べることも多くあります。

天ぷら、煮物、炒め物、和え物、鍋、汁物等、何にでも合いますが、やっぱり当地ではイノハナご飯が最もポピュラーです。

ご飯には乾燥イノハナを水で戻して使いますが、戻し汁に香りと旨みが出るので、捨てずにご飯と一緒に炊き込みます。戻し汁はイノハナの色素が溶け出て真っ黒ですが臆することはありません。食べれば納得の味に仕上がります。 炊き上がりが近づくにつれ、炊飯器からはイノハナのいい香りが蒸気とともに部屋中に漂います。

写真のイノハナは、昨年市内のとある場所で採ったものです。私は採りたてのイノハナに初めてお目にかかりましたが、乾燥前でも、むせかえるほどの強い香りを放ち、ノドがイガイガしたのが印象的でした。譲っていただき自宅で吊るして乾燥させたのですが、家中がイノハナの香りでいっぱいでした。

6、7個のイノハナが白い紙の上に乗っていて下に物差しが置いてある

乾燥前のイノハナ

乾燥して小さく黒くなったイノハナ

乾燥後のイノハナ

原発事故以降、野生キノコは放射性物質濃度が基準値を超えるものが多く、出荷制限もされているため、以前のように山から採って食べるのが難しい状況が続いています。残念ながら、これはイノハナに限ったことではありません。

茶碗に盛られたイノハナご飯

そんな理由からせっかく譲っていただいて作ったこのイノハナご飯も食べることは出来ず、記録写真用のイノハナご飯となってしまいました。もったいないですね・・・。いつかまた、地元で採れたイノハナご飯が食べられる日が来ることを願うばかりです。

そして私には「もしもたくさんイノハナが手に入ったら、生のものをクリームパスタにして食べてみたい。」という夢があります。きっと芳醇で濃厚な香りのパスタが出来あがることでしょう。トリュフに負けず劣らずではないかと時々密かに夢想するのです。

(は)

ピンク、オレンジ色メインのバックに馬、男の子、モミジ、キノコなどが並ぶ帯状の画像

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