トマトに魅せられ移住を決断 先輩と一緒に成長を重ねる栽培見習い一年生

トマトの生育状況を見ながら葉を切り落とす時谷さん

トマトに魅せられ移住を決断 先輩と一緒に成長を重ねる栽培見習い一年生

時谷 一圭  さん(23)

ときや・いっけい

2022年4月〜 南相馬市原町区在住

 

神奈川県川崎市生まれ

(7歳): 神奈川県川崎市で過ごす→(22歳):東京都多摩市へ家族で引っ越し。大学では生物学について学ぶ→(23歳):南相馬市へ移住し、南相馬復興アグリ株式会社へ入社

 

南相馬復興アグリ株式会社 グロアー見習い

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「トマトが好きだから、おいしいトマトを育てたい」そう語るのは、2022年春に南相馬市へ移住してきたばかりの時谷一圭さん。
大学卒業後の就職先を探すなか、年間を通してトマトだけを栽培している「南相馬復興アグリ株式会社((注意)以下、復興アグリ)」と出合い、就職を決断しました。
就職や移住で、大きく生活が変わるにも関わらず、不安より楽しみの方が大きかったという時谷さんに、トマトへの想いや南相馬市での暮らしについて聞きました。

トマト、移住への想いを笑顔で話す時谷さん

就職への指針は幼少期の思い出

Q1. 農業に興味を持ったのはいつ頃ですか?
 

A.
子どものころから、農業には興味がありました。幼少期を過ごした祖父母の家に、いろいろな作物や植物が植えられていたんです。食卓に並ぶ野菜から名前が分からないような花まで、さまざまなものに囲まれていて、関心を持ちやすい環境だったと思います。
 

農業の仕事に就こうと思ったのは、就職を考え始めたタイミングでした。大学では、植物の遺伝子に関する研究を行っていて、それも面白かったのですが、自分は生産することを仕事にしたいと考えたんです。

仕事について熱い想いを胸に真剣に話す時谷さん

経験豊富な先輩たちを頼りながら 今、自分にできることを積み重ねる

Q2.復興アグリを選んだのはなぜですか?
 

A.
農業系の就職サイトを利用しながら「トマト 就農」などと検索していて見つけたのが、復興アグリです。
 

どうせ作るなら、自分の好きなものがいいと思って。いくつかの農場にインターンに行ったのですが、復興アグリのトマトを食べた時の衝撃が忘れられなかったんです。甘くて、皮が柔らかくて、とてもおいしかった。どういう方法でこのおいしさを保っているんだろうと知りたくなりましたね。高品質のトマトにこだわる姿勢に共感し、入社を希望しました。

 

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Q3. 時谷さんが担当している仕事を教えてください。
 

A.
4月に入社したばかりなので、今は見習いグロワー(栽培者)として、トマトのお世話をしています。実っているトマトが良い品質で育つように、成長に不要な葉や実を切り落とすのが、主な作業です。ここで育てている「房どりトマト」は茎を2メートルくらいの高さまで伸ばしているんですが、上の方に葉があると、下の方にあるトマトに日が当たらない状態になってしまうこともあるんです。


どの葉を何枚切り落とすかの判断は、目の前のトマトの生育状況によって異なります。そのため、トマトの状態をいかに理解できるかが大切です。昨日まで青かったトマトが赤色になったとか、些細な変化も見落とさないよう観察しています。

 

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Q4.一緒に働いているみなさんはどんな方ですか。
 

A.
気配りが行き届く、職人気質な人が多いです。
 

出荷するトマトは「糖度8度以上」など、品質基準が決まっています。1年中ハウス栽培をしているとはいえ、夏と冬では気候が違いますし、苗の個体差もあるなかで、高品質を保つのは簡単ではありません。経験のある先輩たちが生育状況を見て、設備の調整を逐一行っています。収穫や出荷の現場でも、トマトを傷つけないようにするなど気を付けることは多いですが、みなさん丁寧に仕事をしています。


厳しいだけでなく、自分のことを気にかけてくれて、寛容であたたかな人柄でもあります。入社して間もない頃に、向こうから声掛けをしてくださることも多く、受け入れてもらえたと感じてホッとしました。先輩に食事に誘ってもらったり、同世代の人を紹介してもらったりすることもあって、プライベートも見守ってもらってるような関係です。

仕事に真摯に取り組む時谷さん
丁寧にトマトの生育に不要な部分を判別し、切り落とす時谷さん

「一番おいしい」トマトを育てたい

Q5. 移住を考えている方へメッセージをお願いします。
 

A.
移住は人生において、大きなイベントです。だからこそ、自分の考えや思いを整理したうえで、移住の選択ができるといいのではないでしょうか。移住を検討する土地へ、実際に足を運ぶことも大切だと思います。
 

自分はインターンを通して、人や土地の空気感との相性の良さを感じられて、もともと縁がなかった南相馬市でも、不安なく移住できました。近すぎず、遠すぎない距離感が心地いいんですよね。秋田に親戚が住んでいて、方言が似ている部分があったのも、少なからず安心感を生んだかもしれません。
 

金銭面での移住支援も充実しています。自分の場合は、南相馬市の市外から移住する世帯向けの住宅補助制度で、引っ越し費用の大半をまかなえましたよ。新生活を始めるタイミングは出費も多いので、とても助かりました。今は福島県の「福島12市町村移住支援金」も申請中です。移住前の居住地など、支援を受ける条件はありますが、複数の支援を併用できるのもありがたいです。

美味しいトマトをつくることを目標に作業にあたる時谷さん
復興アグリで作られる真っ赤でおいしいトマトたち

Q6. 今後の目標を教えてください。
 

A.
グロアーとして一人前になり、トマトの生産を任せてもらえるようになりたいです。苗や気候によって生育具合が変わるという意味では、トマトは生き物のようなもの。だからこそ、一つひとつに向き合って、おいしく育て上げられた時の喜びはひとしおです。
 

トマトが成長するスピードには限度があるので、経験を重ねるのにも時間はかかると思っています。「見習い」の肩書きがとれるには、3年くらいはかかるかも。でも、自分でおいしいトマトを作るために、アイデアを出したり、生産管理の判断を任せたりしてもらえるよう頑張ります。

 

南相馬のわたしのお気に入り

尚ちゃんラーメンのみそラーメン

尚ちゃんラーメンのみそラーメン

 

原町区にある定食屋「尚ちゃんラーメン」のメニューはボリューム満点。なかでも「味噌ラーメン」は、味噌の風味が好みでお気に入りです。自分にとって、外食はご褒美なので「今日は頑張った!」という時に食べに行きます。自転車に乗るのが趣味なので、南相馬を走りながら、お気に入りの店を開拓していきたいです。

職場の復興アグリで大好きなトマトと笑顔の時谷さん

「自分のやりたいことだから」と、トマト栽培に真っすぐ向き合う時谷さんの姿勢がとてもかっこよかったです。取材後には、葉を切り落とす作業を見せてもらいましたが、そのまなざしは真剣そのもの。一方で、先輩とのやりとりは笑顔で和やか。信頼関係を築いて働ける職場は素敵だなと思いました。

テキスト:蒔田志保/写真:鈴木穣蔵

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更新日:2023年03月14日