原町区の文化財3

更新日:2019年02月06日

22 聖石

「ひじりいし」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

原町区大甕字鶴蒔

所有者

粟島神社

大きさ

径11センチメートル 長16センチメートル
径10センチメートル 長12センチメートル

2個の聖石の写真

 粟島神社境内(あわしまじんじゃけいだい)の一隅に攝社聖権現社(せつしゃひじりごんげんしゃ)が祀られていて、神社にはこの小祀にまつわる聖石と呼ぶ石が伝えられています。
 この石は大小2個あり、その一端に渦巻文が刻まれている。大のものは黄色、小のものは青色、渦巻痕にはおのおの赤色の色彩で塗られてあったというが、現在では殆ど色があせています。古来この石は、次第に成長して大きくなり、子を産む石として奇瑞(きずい)を伝えているが、その由緒は「奥相志」に記載されています。

参考

 戦国も末期に近い天文年間相馬顕胤(そうまあきたね)に属する佐藤伊勢好信という武将が大甕、雫、萱浜の三村を領していました。粟島神社は佐藤氏の守護神として祀られ、もと日祭神社の境内にあったのを、弘化4年(1847)現在の地に移したものです。粟島神社の御縁日は旧の7月17日より3日間で拝観は御縁日のみです。

23 金箔押盛上本小札紺糸威二枚胴具足

「きんぱくおしもりあげほんこざねこんいとおどしにまいどうぐそく」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬市立博物館

所有者

個人

金箔押盛上本小札紺糸威二枚胴具足の写真

 金箔を押した本小札(小さな鉄片を一枚板状につなげたもの)を紺糸で威(おど)した二枚胴具足。束熨斗(たばねのし)の前立(まえたて)を付した十八間星兜(ほしかぶと)が付属する。
 兜の眉庇(まびさし)には武士の守護神とされる「八幡」の鋲(びょう)、胴の胸板には八幡大神・天照・春日の頭文字を表した「八」「天」「春」の鋲、背面には邪気を払うまじない九字(くじ)の「臨」「兵」「闘」の鋲があり、信仰的な部分が表現されています。
 この甲冑は江戸時代、加賀藩で製作された「加賀具足」と呼ばれるもので、甲冑各部にみられる金具の細工や、漆工芸などに、加賀工芸の技術をみることができます。

参考

 加賀具足―江戸時代、加賀藩(前田家。加賀国・越中国・能登国102万石)で製作された甲冑の総称。金銀の箔押(はくおし)・蒔絵(まきえ)や、叩塗り・皺塗(しぼぬ)りといった変(かわ)り塗りなどの漆工芸、象嵌(ぞうがん)・蝋流(ろうなが)しなどの金工、その他加賀工芸の技術がふんだんに駆使され、鮮やかな色彩の装飾が施されているのが特徴です。

24 紺糸威二枚胴具足の兜と大袖

「こんいとおどしにまいどうぐそくのかぶととおおそで」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬市立博物館

所有者

個人

紺糸威二枚胴具足の写真

 兜は鉄錆地(てつさびじ)六十二間筋兜(けんすじかぶと)で、兜鉢裏には「八幡大神 天照皇大神 鹿島大神」「元禄十四辛巳年二月日 常州下妻住 早乙女家忠作 奈佐氏所持」と銘(めい)が刻まれており、元禄14年(1701)常陸国下妻の甲冑師・早乙女家忠の作であることがわかる。この兜の銘は近年まで「永禄十二年三月日 早乙女家忠作」と室町時代・永禄12年(1569)の作と誤読されていたが、近年12査で江戸時代中期・元禄年間の作であることがわかりました。
 袖(そで)は、黒漆塗の本小札(ほんこざね)を緋糸(ひいと)・紺糸で威(おど)した大袖で、冠板(かんむりのいた)(袖最上段の板)に黒漆塗の鮫革(さめがわ)を張り、唐草透彫(からくさすかしぼり)の各金具類の装飾などが施される。室町時代末期の作と思われます。

参考

大袖…平面的で大型の袖。六段~七段の札板で構成され、4本の緒(お)で胴と結びつける大型で威儀的なため、江戸時代の当世具足にも用いられるようになりました。

25 盛上本小札紺糸裾濃威胴丸

「もりあげほんこざねこんいとすそごおどしどうまる」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬市立博物館

所有者

個人

盛上本小札紺糸裾濃威胴丸の写真

 黒漆塗の本小札を紺糸裾濃威とした胴丸。兜の革毎・胴・草摺・大袖ともに胴と同手法の裾濃威とする。兜の吹返・杏葉には丸龍紋の据文がみられます。
 黒漆塗三十二間筋兜、兜に付属する三鍬形(みつくわがた)の前立、五枚筒籠手(つつごて)、五枚筒大立挙(おおたてあげ)臑当などは練革(ねりかわ)(膠水に浸して打ち固めた革)を用いて作られたものです。
 籠手は、上膊部(じょうはくぶ)に小袖が仕付けられた「毘沙門籠手(びしゃもんごて)」で、大袖を外しても袖付具足として使用できる構造となっています。
 復古調の胴丸で、江戸時代末期の作と思われます。

参考

 裾濃威――甲冑の威糸の色を、上部を白、次第に濃い色に威し下げていき、もっとも濃い色が最下段にくる。最下段の色目の違いで、紺糸裾濃、紅糸裾濃、紫糸裾濃、萌黄糸裾濃などと呼称します。

26 盛上本小札縹糸威二枚胴具足

「もりあげほんこざねはなだいとおどしにまいどうぐそく」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬市立博物館

所有者

個人

盛上本小札縹糸威二枚胴具足の写真

 黒漆塗の本小札を縹糸で威した二枚胴具足。草摺・面頬(めんぽお)の裾板(すそいた)に「藤三巴(ふじみつどもえ)紋」の金蒔絵(きんまきえ)据文がみられるほか、兜の吹返や各金具の鋲にも同様の紋がみられます。
 兜は鉄錆地三十二間筋覆輪星兜で、前立は鍬形と金箔押の竜。
 佩楯は金箔押の伊予(いよ)佩楯(伊予札(いよざね)を連接して形成した佩楯)で、左右内側を半円状に切り回し、周縁にフリルを廻らせた、南蛮風の珍しいもので、江戸時代中期の作と思われます。

参考

 覆輪――兜の矧板(はぎいた)の継ぎ目・眉庇(まびさし)、胴・袖の金具廻(かなぐまわり)、草摺の裾板などの周縁を、金銅(こんどう)などで覆(おお)う技法。着用上の安全を図り、装飾も兼ねる。本資料の兜のように、兜の矧板の継ぎ目を覆輪したものを「筋覆輪(すじふくりん)」といいます。

27 切付盛上札色々威二枚胴具足

「きりつけもりあげざねいろいろおどしにまいどうぐそく」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬市立博物館

所有者

個人

切付盛上札色々威二枚胴具足の写真

 黒漆塗の切付小札を緋糸・紫糸・白糸・紺糸・萌黄糸で威した二枚胴具足。大袖、佩楯、兜の革毎も、胴と同様の色目の糸を用いた色々威としている。
 兜は六十二間星兜で、前立は鍬形と金箔を押した木彫りの唐獅子。兜の吹返(ふきかえし)、杏葉(ぎょうよう)には「立葵(たちあおい)紋」の据紋がみられます。
 兜には「相州住明珎作」と鐫銘があり、作者は江戸時代、相模国(神奈川県)に住した「相州明珍」と呼ばれる明珍派の一派の人物と思われます。
 江戸時代末期の作と思われます。

参考

 切付小札…本小札の手間をはぶくため、一枚板の札頭に本小札のような切込みを入れ、下地を盛上げ、本小札のように仕上げたものです。(一枚板の上部を本小札のように櫛形(くしがた)に切り込みをいれたものです。)

28 色々威胴丸

「いろいろおどしどうまる」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬立博物館

所有者

個人

色々威胴丸の写真

 黒漆塗の本小札を、朽葉(くちば)糸・萌黄(もえぎ)糸交互に色々威(いろいろおどし)(多色の糸を用いて威す手法)とした胴丸。大袖と兜の革毎も、胴と同様の色々威とする。草摺の裾板の金具には「木瓜に二引両」の据紋を付しています。
 兜は鉄錆地二十間二方白(にほうじろ)星兜で、鍬形と丸に素剣(すけん)の前立が付属する。中世甲冑の主流であった胴丸を模範とし、江戸時代に製作された復古調の胴丸で、室町時代頃の胴丸を比較的忠実に再現しています。
 江戸時代末期の作と思われます。

参考

 胴丸…中世に徒歩武者用として発生した甲冑で、名のとおり”胴を丸く一回り“して、右脇を引き合せて着用する。長側(ながかわ)(胴の腹部を取巻く部分)が4段、立挙(たてあげ)(長側の上部)は前2段・後3段、草摺(くさずり)8間を基本構造とし、江戸時代には中世胴丸を模した、復古調の胴丸が製作されました。

29 紺糸威丸胴および兜と袖

「こんいとおどしまるどうおよびかぶととそで」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

南相馬市立博物館

所有者

個人

紺糸威丸胴の写真

 黒漆塗の本小札を紺糸で威した丸胴具足です。
 鉄錆地十八間二方白星兜は、鉢が丸くふくらんだ大円山形(だいえんざんなり)とよばれる形で、星鋲も大きく作られており、中世の厳星兜(いかぼしかぶと)を模範とした傾向がみられる。前立は鍬形と練革製の葵葉。吹返(ふきかえし)には「三文銭紋」の据紋を付しています。
 袖は、本小札を紺糸で威した中袖(ちゅうそで)(大袖と同じく胴と結ぶための4本の緒を設けるが、大袖より小さく、小袖より大きい袖)で、後補の痕跡もなく、保存状態が良好です。
 江戸時代後期の作と思われます。

参考

 丸胴…当世具足様式の一つ。胴を一回りして右脇で引き合せる形式は、中世の胴丸と同様だが、胴丸よりも長側(ながかわ)(胴の腹部を取巻く部分)、立挙(たてあげ)(長側の上部)の段数が多い。胴丸と区別するために「丸胴」とよばれています。

30 金箔押盛上本小礼緋威鹿角紺糸紋柄威二枚胴具足

「きんぱくおしもりあげほんこざねひおどしかづのこんいともんがらおどしにまいどうぐそく」

種別

市指定有形民俗文化財

指定年月日

昭和51年4月1日

所在地

原町区北新田

所有者

個人

金箔押盛上本小礼緋威鹿角紺糸紋柄威二枚胴具足の写真

金箔を押した本小札を緋糸で威し、胴の前面・背面に、紺糸で鹿角紋を威し出した二枚胴具足です。
 付属する錆地塗(さびじぬり)二十四間筋覆輪星兜(すじふくりんほしかぶと)には「珍久作」の鐫銘があります。
 大袖が付属するが、籠手(こて)の上膊部に小袖が仕付けられた「毘沙門籠手」であるため、大袖を外しても使用できる構造となっています。佩楯は伊予佩楯と越中(えっちゅう)佩楯(細川越中守忠興が好んで使用した、実用的で簡略な佩楯。格子鎖と筏金(いかだがね)で製作する)の2種の佩楯を具す。
 江戸時代中期の作と思われます。

参考

 紋柄威…胴の中央や袖などに、家紋や文様などを、威糸で表現する威し方。紋柄の色や形によっては、小札の塗色も変えるなどして表現します。

31 八坂神社のアカガシ樹林

「やさかじんじゃのあかがしじゅりん」

種別

市指定天然記念物

指定年月日

平成5年4月1日

所在地

原町区石神字北明内

所有者

八坂神社

八坂神社のアカガシの写真

 この樹林は8本の巨木を中心として、総数33本のアカガシが見事な自然植生を形成している。樹下にはヒサカキ(榊)、アセビ(馬酔木)ヤブツバキ(藪椿)などの低木がみられ、ヤブコウジ(藪紺子)が林床に自生する典型的な温暖帯の様相が見られる自然林である。さらに低木層にはアカガシの幼木も多数生育しており、天然更新も行われている。境内は、八坂神社氏子の皆さんにより充分管理されており保存状態もよく、北限に近い自然林として学術的にも貴重な樹叢である。

参考

 ブナ科の常緑高木で5月頃褐色の花を開きます。葉は長楕円形で雌雄同株です。実はシイに似て大きく、材質は堅く赤みを帯びています。

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会 文化財課 文化財係


〒975-0062
福島県南相馬市原町区本陣前1-70(文化財整理室)


電話:0244-24-5284
ファクス:0244-24-1288
お問い合わせメールフォーム

このページに関するアンケート

より良いウェブサイトにするために、このページのご感想をお聞かせください。

このページの内容は分かりやすかったですか



分かりにくかった理由は何ですか(複数回答可)



このページは探しやすかったですか



探しにくかった理由は何ですか(複数回答可)