スバル360(平成27年7月22日)

うちの博物館にはスバル360が展示されています。
スバルは入口から入って最初の角のあたりに突然現れるので、来館者からのよくある質問一覧(注釈)には「スバルはなんで展示されてるのか」というのが上位にあります。(注釈)そういうのがスタッフ用に存在しているのです)
このスバルがいい味出してる資料になってるなぁと思うことがときどきあるので、今回は2つのエピソードを紹介します。

1.小学生とスバル
博物館には小学生の団体さんがよく来館します。
ちびっこ団体さんが来館するといつも静かな博物館は、急に賑やかな博物館に一変します。「なにこれー」「知ってる!」「せんせい、トイレー」などの喧騒の中、一人の男の子(小3)がスバルに関心を持ったようでした。
その次に男の子がスバルの車内をのぞき込んで発した「これくらいなら運転できるな!」という一言で私は吹き出しそうになり、
私「え、運転できるの?」
男の子「(自信ありげに)できるよー」
私「そ、そっかぁ~…(運転は18才からね)」
という短いやり取りの後、男の子は解説担当の学芸員の移動合図と共にさっさと行ってしまいました。
私もMT免許は持ってるけど、スバルはちょっと難しそうです。
彼なら運転できるのかしら。

2.中年と若者とスバル
博物館でお世話になってる印刷会社の営業の方(60近い)と、そこで最近バイトを始めた20ちょいの若者が、お願いしていたチラシの件で来館されました。
応接室が別件でふさがっていたので、エントランス奥の窓辺の席で打ち合わせ。
打合せも終わって入口に戻る途中、
若者「あ、スバル360。こういうレトロな車、欲しいんですよね」。
私が(ああ、若いけど車が好きなんだな)と思っていると、
壮年の営業の方がふと懐かしむようにこうつぶやきました。
「子どもの頃はこれが道を通ると友達と一緒に後ろに回り込んで吸ったもんですよ」
一瞬どういうことを営業の方が言ったのか私にはわかりませんでした。
私「吸った?」
営業の方「ええ、ガソリンの匂いがね。燃焼が悪いもんだから。」
つまり、ガソリンのいい匂い(?)が、当時のスバルの排気にはよく残っていたそうなのです。
舗装されてない道を行きかう車と、その排気ガスを必死に嗅ぎに行く二人の少年の姿。
想像するととても可笑しくて、でも自分もガソリンスタンドで似たようなことをした気がして、なんだか懐かしい気持ちになってしまいました。
世代は全く違うんだけど、いつの時代も子供心は同じようなものかなぁと、しきりに感心した出来事でした。
スバル360は常設展の手前の位置で今日も来館者さんをお迎えしています。
ちなみにこのスペースまでは無料のコーナーなので、チケットは不要です。
(仲川 邦広)

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更新日:2024年04月01日