こんにゃく作り(令和2年2月1日)


「ちょこっと☆みゅーじあむ」のテーマは各担当者が自由に決定しています。なるべく心がけているのは、季節感のある話題を提供すること。
今月のテーマには何が良いかなぁとパラパラ本をめくっていると、「針供養」のページが目にとまりました。
みなさんは「針供養」を知っていますか?東日本では2月8日に、西日本では12月8日に行われる年中行事で、古くなったり、さびたり、折れたりした針を感謝の思いを込めて供養し、この日は針仕事をお休みします。針は、豆腐やこんにゃくなどに刺して飾った後、神社へ納めるか、縁の下に埋める等して供養します。針仕事をする機会が減ってしまった現代では、あまり馴染みのない行事かもしれませんね。
さて、今回のテーマは針供養のお話ではなく、針供養で針を刺す「こんにゃく」のお話です。
難しいコンニャク栽培

畑のコンニャク芋
数年前、ある方(Sさん)が毎年コンニャク芋からこんにゃくを作っているという話を聞きました。芋も育てていると言います。ぜひ作る工程を取材させていただきたいとお願いし、Sさんに快諾していただいたのが、4年程前のことです。そして昨年の11月下旬、ようやくこんにゃく作りの取材が実現しました。なぜこんなに時間がかかったのかと言えば、コンニャク芋は収穫までに3年かかるからです。
タネイモを春に植えて秋に収穫し、またそれを次の春に植えて秋に収穫するというサイクルを3回繰り返すと、こんにゃくを作るのに最適な芋に成長するとされています。こうして説明すると単純な作業に感じますが、実はコンニャク芋はとてもデリケートで、葉がちょっと傷ついただけで病気になったり、強い日差しや強風に弱く、水はけのよい土地でないとうまく育ちません。さらに秋に収穫したタネイモを保管する際の温湿度管理も難しく、非常に手間がかかります。
Sさんは長年コンニャク芋を作っていますが、毎年成功とはいかないもので、一昨年の夏は猛暑にやられて収穫前にだめになってしまいました。しかし、別な畑でお友達と共同で育てているコンニャク芋があり、そちらは無事だったので、その芋の成長を待つことになりました。そんな訳で、こんにゃく作りの取材までに約4年の歳月がかかってしまったのです。
こんにゃくの作り方
コンニャク芋栽培に比べると、こんにゃく作り自体は、手間はかかるかもしれませんがそんなに難しいものではありませんでした。
作り方
① 芋の皮をむき、ぬるま湯と一緒にミキサーですり潰す。
② ①を鍋に入れて火にかけ、焦げないように注意してヘラでかき混ぜる。ここから休まず混ぜ続ける。最初は強火で、煮えてきたら弱火にする。
③ ある程度固まって鍋やヘラからはがれやすくなったら、水で溶いた消石灰などの凝固剤を加え、さらにかき混ぜる。(凝固剤はこんにゃく用のものが市販されています。作り方も載っているので利用すると便利です。)
④ バットなど適当な容器にこんにゃくを流し入れ、3~4時間固める。
⑤ 固まったこんにゃくを適当な大きさに切り、鍋で30分程煮る。こんにゃくが浮き上がって来たらさらに10分程煮る。
⑥ 冷水に入れてあく抜きをする。1時間おいたら水を入れ替えて次の日の朝までおく。
⑦ 完成。

空気をたくさん含んでいるのか、市販のこんにゃくよりも柔らかい仕上がりでした。ブルブルじゃなくフワフワなこんにゃくという感じです。せっかくなのでお刺身でいただきましたが、煮物にしても味がよく染みて美味しいと思います。
こんにゃくは縄文時代に日本へ伝えられたという説があります。一般に広く食べられるようになったのは江戸時代以降のようですが、こんにゃくと私たちとの間には長いお付き合いがあるようです。こんなにも長い間、手間を惜しまずに食べてきた私たちってなかなかすごいのではないでしょうか。いや、こんにゃくにそれだけの魅力があるということでしょう。
(川崎 悠)

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更新日:2024年04月01日