市民の内部被ばく検診(平成25年4月1日~平成25年9月30日) 結果

更新日:2018年12月25日

結果概要

検査時期

平成25年4月1日から9月30日

受診者

南相馬市民 9,200人(大人 5,810人、子供 3,390人)

検査機器

キャンベラ社製WBC(南相馬市立総合病院)および日立アロカ社製WBC(医療法人伸裕会 渡辺病院)を使用し、セシウム134および137に由来する放射線を測定しました。。機器の機械的測定検出限界は、1キログラムあたり約4ベクレル体重です。今回の結果は、南相馬市立総合病院および渡辺病院での測定結果をまとめて集計しています。小児の集計には、以前、発表した2013年5月から7月に行われた学校検診でのWBC検査結果も含めています。

検査結果の説明

(1)図1-1及び1-2

今回の測定で放射性セシウムが検出された方の割合は、成人および高校生で1.9%(平成24年10月1日~平成25年3月31日までの期間は5.2%)、1キログラムあたり20ベクレル以上を検出した方は、2名いました。一方、小児では、3,390名中1人で1キログラムあたり7.2ベクレルが観測されましたが、残りの方は、検出限界以下、で1キログラムあたり20ベクレル以上の方はいませんでした。小児で放射性セシウムが検出された1名は、現在、他地域に在住ですが再検査時には、検出限界以下でした。

(2)図2

体内に放射性セシウムが観測される方の頻度は、大人および子供ともに事故後の時間が経つにつれて急速に低下し、大人では、2013年6月以降2%以下と極めて低い水準を保っており、小児には、2012年9月以降、陽性の方はいません。

(3)図3-1及び3-2

年齢別では、高齢者ほど放射性セシウムの検出率が高く、男女別では男性における検出率が高くなります。食生活の違いおよび体内に取り込んだ放射性セシウムの排泄速度(生物学的半減期)の差などが影響していると考えられます。

(4)図4-1,4-2及び4-3

2012年7月から希望する市民全員に対して2回目の検査を行いました。図4-1と図4-2は、それぞれ南相馬市立総合病院および渡辺病院での検査結果です。2回目の検査では、多くの方の体内汚染度が低下し、検出限界以下になっていました。しかし、初回検査で、放射性セシウムが検出限界以下の値であった人でも、2回目の検査で検出された方が僅かながらいました。その値は、決して高い値ではありませんので心配はありませんが、聞き取り調査の結果、天然の食材を継続して食べている方が大半のようです。放射性物質の体内摂取の主な原因は、放射能で汚染した食品を食べることですので、今後も食品の放射能検査を徹底するとともに検査受診への呼びかけを続けて行く方針です。

(5)図5-1、5-2及び5-3

アンケートの結果、南相馬市民の食材や環境を介した内部被ばく増加に関する不安は低下する傾向にあります。

(6)図6-1及び6-2

食材は、多くの方がスーパーなどで流通しているものや、地元産であっても検査を経たものを摂取されており、未検査の食品の摂取を続けている方は少ない状況です。

(7)図7-1及び7-2

WBC検診への受診率は、一時、低下傾向でしたが、学校検診導入後、受診者数は再び増加してきました。しかしながら、20代及び30代の方の受診率は低い状況が続いてます。

(8)図8

多くの方がWBCによる検査継続をご希望されていることが判りました。南相馬市では、市民の健康を守るために、今後もWBCでの測定業務を続けていきますので、自分の健康を守るために積極的に受診するようにしてください。

結果の総括

 今回は、2013年4月から9月末までの検査結果に基づいた南相馬市民の体内被ばく危険度についての委員会見解をご報告致します。

  1. 体内に放射性セシウムを取り込んでいる方の頻度は、大人・子供ともに測定月が進むにつれて急速に減少しています。特に子供では、2012年9月以降、 陽性者は見つかっておりません。大人でも、2013年6月以降は測定者の1-2%にまで低下しています。追跡調査の結果、大人の陽性者の大半は、放射能未検査の天然食材を継続して食べている方であることが判りました。このことから、現在、南相馬市では、汚染食品等の摂取による内部被ばくの危険は、非常に低く抑えられていることが判ります。
  2. 市民の間では、食品や環境からの体内汚染に対する不安は減ってきています。一方、一部の方は、依然として食品や飲料水の放射能汚染に大きな不安を持っています。しかし、今回のWBCによる体内汚染の検査結果をみると、放射能で汚染した天然食材を継続して食べるようなことをせず、通常の流通食品を食べ、通常の生活を続けていれば、体内汚染は、十分に低く押さえられることが判りました。
  3. 南相馬市では、市民の健康を守るために、今後も内部被ばく検査とともに、徹底した食品汚染検査を実施し、市民の内部被ばくを減らすための活動を続けていきます。市民の皆様は、自分の健康を守るために積極的に受診してくださるようお願いします。

南相馬市長

桜井 勝延

南相馬市放射線健康対策委員会

委員長

京都大学名誉教授 渡邉 正己

委員

  • 南相馬市立総合病院院長 金澤 幸夫
  • 東京工業大学放射線総合センター助教 富田 悟
  • 東京大学医科学研究所研究員 坪倉 正治
セシウム137の体内放射能量別の被験者数 大人(高校生以上)のグラフ(図1-1)
セシウム137の体内放射能量別の被験者数 子ども(中学生以下)のグラフ(図1-2)
月別セシウムの検出率の推移のグラフ(図2)
年齢別検出割合のグラフ(図3-1)
セシウム137 検出者 詳細のグラフ(図3-2)
セシウム137 2回目検査結果のグラフ(図4-1)
セシウム137 初回検出者同一機種追跡結果のグラフ(図4-2)
セシウム137 3回目検査結果のグラフ(図4-3)
内部被ばくの原因として気になる食材のグラフ(図5-1)
内部被ばくの原因として気になる食材のグラフ(図5-2)
塵やほこりの吸入についてのグラフ(図5-3)
食べ物の調達方法のグラフ(図6-1)
自宅の飲料&調理水の種類のグラフ(図6-2)
月別受診者の推移のグラフ(図7-1)
年齢別受診者数のグラフ(図7-2)
今後のWBC検診についてのグラフ(図8)
この記事に関するお問い合わせ先

健康福祉部 健康づくり課 放射線健康係


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