【対談】市長・教育長 x 大学生「語って。聞かせて。あなたの想い」~修学生懇談会~

更新日:2023年04月18日

市では、学生の学びを応援するため返還不要型の修学資金事業を行っています。

令和5年3月23日に、修学生に選ばれた学生と市長・教育長との懇談会を開催し、学生の皆さんが目指す将来や、大学での学び、ふるさと南相馬についての想いなどについてお話を伺いました。

自分の将来についての考え方や勉強と部活のバランスのとり方など、これから大学を目指す高校生にも参考となる内容を伺うことができましたので、一部紹介します。

会議の様子

懇談会の様子

テーマ1 「私が目指すモノ・コト」

大和田教育長)
皆さんが将来目指すもの、それを目指す理由を教えてください。
 
A.Wさん)「決め手は先生との出会い」
私は小学校の先生を目指しています。小学校から高校までずっと学校が好きでしたし、中学校では気持ちを前向きに導いてくれた先生との出会いがありました。自分も子どもの心を支えられる先生になりたいですし、子どもにとって学校は落ち着く場所であってほしいので、そういう環境が作れる先生になりたいです。
 
大和田教育長) 全国的に教師が不足しているなか教師を目指す、しかもそのきっかけが先生との出会いであったということは、教員経験者として非常に嬉しく思いますが、具体的にどのような先生だったのでしょうか。
 
A.Wさん) 中学校の先生でした。勉強と部活を両立するために、時間の使い方や気持ちの持って行き方について悩んでいるとき、何も言わなくても察知してくれて、先生のほうから「大丈夫?」声を掛けてくれて、相談しやすい雰囲気を作ってくれました。
 
S.Sさん)「歴史には不思議や謎がいっぱい」
私は日本史を学びたくて大学に進学しました。大学院に進んで研究することも考えています。まだ教員になるか、研究者などはっきり決めてはいませんが、まずは日本史をしっかり学んでいきたいです。歴史を好きになったきっかけは、小学6年の担任の先生の影響です。歴史が好きな先生で、授業のほかにも例えば「縄文・弥生時代の死因で多かったのはむし歯で、なぜかというと当時は歯磨きをしていなかったのでむし歯になる人が多かったんだよ。」など歴史に関する雑談を色々話してくれました。また、私が授業内容以外のことを質問して、すぐに答えられないものでも、きちんと調べて教えてくれるなど、真摯な先生でした。その先生と出会わなかったら歴史好きにはならなかったかもしれないくらい影響を受けました。
 
大和田教育長)
小学校から高校で学ぶ歴史は、どうしてもテストのための勉強になりがちなところもありますが、大学で歴史を学ぶことの面白さはどのようなところですか。
 
S.Sさん)
確かに歴史の受験勉強はつらかったです。大学では検索してもすぐに出てこないことが多く、自分で考えて考えて、もしくは教授にたずねることが必要です。私みたいに日本史、歴史分野が好きな人はぜひ大学で学んでほしいと思っています。教科書を読むだけではなく、本当かどうかまだ分からない説を検証していく作業も面白いです。
 
Y.Wさん)「数学好きを増やしたい」
私は高校の数学教師になって、生まれ育った南相馬市で働きたいと思っています。私も小学校から高校を通して、先生には大きな影響を受けました。数学は難しいという固定観念・イメージが先行してしまいがちなので、数学の楽しさをわかりやすく伝えられる教師になりたいと思っています。受験が終わったばかりなので、大学に入ってから研究してみたいことはこれから具体的に考えたいと思っています。
 
K.Kさん)「原動力は映像」
私は映像の演出やCGの分野を学ぶことができる大学に進学します。部活の練習がつらくて、学校に行きたくなくなった時に映像作品が頑張る原動力になってくれました。その頃から映像制作に携わる側になって、人を元気づけて行きたいという思いが芽生え、高校2年の頃にはクリエイターの道を目指すことに気持ちが固まりました。
 
S.Aさん)「面白いロボットを作る」
大学では人工知能について学び、将来は人工知能を使ったものを作るプログラマーになりたいです。周囲の環境を読み取ってそれに沿って動くようなロボットを父に見せてもらったことがあり、それが面白く、自分ももっと面白いものを作りたいと思ったのがきっかけです。周りの環境を認識して自動で飲料供給や配膳をしたり、エアコンの温度を調整したり、人を快適にするようなロボットを作りたいです。
 
門馬市長)
皆さんしっかりした考えを持っていて、市にこのような学生達がいるのはとても嬉しいし、目的意識が明確なことに驚いてもいます。大学には全国から人が集まって来るので、色々な能力や特色を持った人とつながることも面白い。そういう人達との交流や、最先端のことを勉強すると、化学変化で自分も変わっていくと思うのでそういうところも楽しんで欲しいです。勉強だけが学生生活の全てではありませんので、今の気持ちを忘れずに頑張ってください。

テーマ2 「私×(かける)大学=(いこーる)」

大和田教育長)
令和5年度から大学に進学する方については「大学で身に付けたいもの」、例えばこの学問について探求したいとか、学問以外にもしてみたい活動などを教えてください。既に在学中の方については「大学で学んでみて気付いたこと」として、実際に大学で学んで将来の方向性がこう変わったとか、加わった目標などがあれば教えてください。
 
A.Wさん)「授業以外も学びの場」
特別支援教育のことを大学に入ってから知り、その特別支援教育の免許も取りたいと考えるようになりました。ボランティア活動をしたことがきっかけで、小学校にボランティアに行ったとき、支援を必要とするお子さんについて、自分が何もできないことや勉強不足であることに気付きました。
 
S.Sさん)「地域性の違いを肌で感じて」
私が通う大学は、東北出身が3割程度で7割はほかの地域からの学生が多く、遠いところだと京都出身の友達もいます。そうやって色々な文化に出会えるのが大学の魅力だと思います。先月で辞めたのですが、講師のアルバイトをして、教える側になってみて初めて教えるのが好きだと気付き、教員になることも視野に入れてみようと思いました。勉強以外のことでは、初めて一人暮らしをしてみて、今までは親が何でもやってくれていましたが、全て自分でやらなければいけないので、それも良い経験になっています。
 
大和田教育長)
次の学年で、さらにやってみたいことや学んでみたいことは何ですか。
 
S.Sさん)
専門科目が多くなり、日本史以外にも色々学べるようになるので、心理学など視野を広げるためにも色々な科目を受けたいです。また、1年の時に勉強した中国語が楽しかったので、それは引き続き勉強したいです。漢文が読めるのは日本史を学ぶ際にも、将来も役に立つのではないかと思っています。
 
大和田教育長)
これから大学生活に入る3人にも聞いていきたいと思います。
 
Y.Wさん)「サークル活動や異文化とのふれあいが楽しみ」
勉強はもちろんですが、体を動かすことが好きなので運動系のサークル活動をしてみたいです。中学校からずっと陸上をやってきましたが、それを大学でも本格的にやろうと思うと、時間のやりくりが大変かと思うので、中学校でやっていたバドミントンも良いなと思っています。大学には幅広い地域から人が集まってくるので、色々な考えを持つ人と関わって勉強以外のことも吸収したいし、インターナショナルな大学なので外国のことを学びたいと思っています。
 
K.Kさん)「都会だからこその体験を」
1を100にするのではなく、0から1を生み出せるようなクリエイターを目指し、CGの技術だけではなく映像演出をしっかり学びたいと思っています。東京は色々な情報が集まる場所なので色々なものをしっかり見て回りたい。東京に行った意味を見出せるように、大学生活も映像制作も4年間最高に楽しみたい。とにかく授業はさぼらずにしっかりと受けて、技術的なことを身に付けたいです。
 
S.Aさん)「やっぱり英語力かな」
進学先ではIT、コンピューターだけでなく英語をしっかり学びたいと思っています。外国からの留学生もいるので、留学生やほかの地区から来た学生と交流して多様な考え方を身に付けたいと思っています。英語について、今は辞書などを使えば最低限のコミュニケーションはとれると思いますが、聞いたり話したりすることがまだ慣れていないので何とかしていきたいです。
 
大和田教育長)
大学をテーマに伺ったところで、皆さんの中で最近まで受験勉強をされていたY.Wさんに、どのようなスタイルで勉強していたか聞いてみたいと思います。部活動もされていたとのことですが、時間のやりくり方法をお聞かせください。
 
Y.Wさん)「勉強は決まった時間に決まった場所で」
昨年の8月末まで部活をしていたため、時間がないことは十分承知の上でしたので、どうやったら時間を最大限活用できるかが大切なことでした。どれだけの時間で、どれだけ難しい問題を解けるか、時間を測ってやってみたりしました。もう一つは決まった時間に勉強を始めるなど、勉強をルーティン化しました。そうすることで、その時その時のやる気の波の影響が少なくて済んだと思っています。
 
門馬市長)
既に在学しているお二人は教員の道も考えているということで、教員経験者である大和田教育長とお話ができて良かったと思いますし、これから入学する3人のそれぞれ3様の考え方を聞くことができて私も良かったです。同級生がどのようなことを考えているか、今日聞くことができてお互いに良かったのではないでしょうか。自分の大学時代の経験からすると、大学生活では、時間は十分にある代わりお金には余裕がないかもしれません。あとは自分で食事の心配をしないといけないなど色々な制約もありますが、あまり心配し過ぎず色々なことにチャレンジしてもらいたいです。やりたいことをやってみるためにはどうすれば良いか、工夫しながらうまく楽しんでください。
話す門馬市長の写真

色々なことにチャレンジしてもらいたいと話す門馬市長

テーマ3 「南相馬のいま・みらい」

教育長)
最後のテーマになりますが、「南相馬のいま・みらい」として、既に南相馬市を離れている現役大学生からは「離れてみて分かった、南相馬にはこのような素晴らしいところがあったのだな。」と感じるところを聞かせて頂きたいです。これから南相馬市を離れる方には、18年間ここで生活してきて一番印象に残っていることを教えて頂きたいです。それから皆さんにもう一つ、今から10年後、皆さんは20代後半となり、お仕事もされていると思いますが「こんな形で南相馬市に関わっていきたい」という夢があれば聞かせてください。
 
A.Wさん)「子どもに寄り添っていける人に」
ここ南相馬は気候が良いし、人柄も穏やかでコミュニティが近いところが良いところだと思います。福島県の教員になったら10年後、南相馬に戻って来るかもしれないし、学校教育に限らなくても良いと思うので、子どもと触れ合う仕事をしたいです。子供の成長に一緒に寄り添っていける人になりたいと思っています。
S.Sさん)「教育格差をなくしたい」
親からも「南相馬市は最近、子育て支援に力を入れている。」と聞いています。また、ロボットテストフィールドのように技術的にも先端の施設がある。未来が明るいかといえば、微妙かもしれないというのが正直な思いですが。将来、教員の道を選んでいれば日本史の面白さを教えていきたいです。受験のための歴史は苦しいだけですが、歴史って本当はこういうところが面白いんだよ、と自分なりに表現して伝えられる先生になりたいです。
あと、自分が大学に入ってみて率直に、受験に対する意識などの差を感じました。進学校から来る子などは本当にたくさん勉強したと話しています。中学受験をする人もいますし、南相馬市とは正直、受験に関する意識が違います。教育関係であれば、教育の地域格差をなくせるような職業に就き、貢献できたら良いと思います。
 
門馬市長)
私自身も厳しい生活のなか大学に行かせてもらい、そこでたくさんの人と知り合い、色々な経験ができたことが今につながっています。学生の皆さんにもそういう経験をしてもらいたいと思い、返還不要型の奨学金制度を作るなど、子どもたちが伸び伸びと色んなことをできる環境、子どもたちが選べるような環境を作ってあげたいという思いで子育て支援に力を入れています。
高校に入る前の早い段階で「学ぶことは楽しい」ということを教えてあげられたら良いのかなと思います。
 
Y.Wさん)「成長してふるさとに戻りたい」
電車一本で仙台に行けるのは便利で、アクセスは良いほうなのではないかと思っていますし、比較的住みやすいところだと思っています。将来は会津や中通りでたくさん経験を積んで、南相馬市で教員として働けたら良いなと思っています。
 
K.Kさん)「ふるさとで家庭を持ちたい」
思い出もたくさんありますし、大好きなまちです。子供の時の「南相馬こどものつばさ」がとても良い思い出です。未来の南相馬ということですが、今自分が住むこの地区は、人口減少で10年後、20年後はなくなってしまうのではないかという恐れもあります。自分に出来ることは少ないかもしれませんが、将来は南相馬市内で家庭を持ちたいです。それが南相馬のために自分ができる精一杯のことだと思っています。
 
S.Aさん)「南相馬市は負けていない」
18年間、南相馬市の外にはあまり出たことがなく、言えることは少ないですが、ロボットテストフィールドで原発の廃炉作業の関連ロボット研究を行っているところを見学したことがあり、それによって将来このロボットが人に代わって廃炉作業をやってくれるものなんだと思い、また、南相馬市はスマートシティ構想についても考えているのを知り、南相馬市は負けてないと思いました。若者の出入りが少ない印象があり、それに対し私ができることはないかもしれませんが、将来は市内で家庭を築き、また、大学で学んだことを生かしたいと考えています。
 
懇談会の最後に、門馬市長と大和田教育長から修学生の皆さんの学びを応援するメッセージを贈りました。
 
門馬市長)
文系・理系色々な学科の方がいて、それぞれの分野の話を聞くことができたので大変参考になりました。皆さんが伸び伸びと勉強あるいは勉強以外のことも経験できるよう、市を挙げて応援しています。これから入学する3人には「さぁ、行っといで。」「元気で行っといで」という思い、また、在学中の2人も引き続き色々なことをたくさん経験してほしいという思いです。今日はありがとうございました。
 
大和田教育長)
夢を抱いたきっかけが、教員による影響が大きかったという話があり、元教員としてとても嬉しかったです。これから大学に入学する3人は不安もあるかもしれないし、既に在学中の2人もこれから困難な場面に出くわす時があるかもしれませんが、そういう時にふるさとがあるということはとても良いことだと思います。最後に、原町第一小学校で4年生から6年生まで学んだ元オリンピック選手の佐藤敦之さんの言葉を贈ります。「挑戦する人に失敗なし」挑戦し続けている限り失敗はなく、やり直せば良いだけなんだと。皆さんも恐れずに自分の夢に向かって進んで頂きたいと思います。今日はありがとうございました。
この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会 教育総務課 総務係


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福島県南相馬市原町区本町二丁目27(本庁舎2階)


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