博物館の中で虫さがし ―後編―(平成30年4月1日)

更新日:2024年04月01日

南相馬市のキャラクター郷くんとノマくんのイラスト

 前回のちょこっと☆みゅーじあむ[「博物館の中で虫さがし ―前編―(平成30年3月1日」]で博物館の中にもいろいろな虫が入ってくること、また収蔵庫の中が特定の虫にとってはとても魅力的な環境だということをお話ししました。
 このような虫は何もないところから現れるわけではなく、人の出入りとともに野外から入り込んできたり、持ち込まれる資料にくっついていることがあります。

 新しく収蔵される資料については収蔵庫に入れる前に殺虫処理を行います。薬剤ガスによる殺虫方法も使用しますが、ガスの取り扱いが難しいため、一部の資料は冷凍庫での低温処理などによって殺虫を行っています。

収蔵庫の中の虫

チャタテムシ ほこりと湿気Love 体調1ミリメートル

 南相馬市博物館では毎月2週間ほど収蔵庫のあちこちに床に置く粘着トラップや虫の出すフェロモンを利用したトラップを仕掛け、捕まった虫をカウントして定期的な調査をおこなっています。
 それによって、収蔵庫の中で「どの季節に」「どのような虫が」「どれくらい」発生しているのか、あるいは入り口付近からどのような虫が入ってきているのかを知ることができます。

 実際に収蔵庫の中で調査をしてみると、意外と虫が見つかることがあります。扉の開閉とともに侵入したと思われるクモの仲間や、主に床のホコリなどをエサにしている1ミリメートルくらいのチャタテムシの仲間などです。
 特にチャタテムシは資料を直接食べることはあまりありませんが、たくさんいて良いものではありません。なるべく減らすための対策を考える必要が出てきます。 

 どのような虫が見つかった場合にも、まずその原因をたしかめる必要があります。
 発生源(エサ)や侵入経路、温湿度の変化など、そうした要因が分からなければ、見えている虫だけを殺しても再び虫が発生する可能性が高いからです。
 「(エサとなる)ホコリが多かった」とか「湿度が高かった」などの原因があれば、「ホコリがたまりやすい場所をこまめに掃除する」「空調管理を見直す」などの方法で原因を取り除く方法を考え、翌月の発生量と比較して効果があったかどうかを確認しながら対処を続けます。

10年以上前までは南相馬市博物館でも収蔵庫内の丸ごとを薬剤ガスによって殺虫していましたが、現在は環境への負荷、資料への負荷、お金がかかる事、などの理由から、特別に有害な虫が発生していない限りは清掃や温湿度の管理によって虫の発生を減らすような工夫で対処しています。

薬剤ガスが必要な時以外にはなるべく使わない、というのも最近の主流な考え方になってきているようです。


(仲川 邦広)

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