柿餅つくり体験記(令和3年3月1日)

更新日:2024年04月01日

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馬、甲冑姿の男の子、おひなさま、花びら、タンポポの綿毛、イチゴなどが並ぶ帯状の画像

各地から相次ぐ問い合わせ

皮をむいた柿を白いビニールひもに結んで窓の外に吊るしている様子

干し柿

かきもち(平成31年1月4日)」で柿餅を紹介してから、作り方の問い合わせをいただきますが、不思議なことに、それらのほとんどが柿餅を知らない県外の方から寄せられるものです。未知の食べ物であるはずの柿餅にこれほど反響があるとは予想外でした。特に今年はおうち時間が長くなった影響なのか、昨年以上に多くの問い合わせをいただきました。

心苦しいのは、紹介しておきながら実際に作ったことがなかったことです。おおよその作り方は知っているものの実践していないと詳細な説明はできません。この冬は柿餅作りに挑戦すべく干し柿を作り、その時にむいた皮も乾燥させて保管しておきました。

しかし肝心なのは作り方。詳細な作り方に辿り着くまで苦戦しましたが、ほかの職員の協力のお陰で詳しい手順を把握することができました。これで準備オーケーです。

作り方は教えていただいた家庭ごとに異なりましたが、郷土に根付く料理は大概そういうものなので、今回はそれらの方法をまとめた作り方で挑戦しました。とにかくまずは作ってみること。良し悪しの判断はその後です。

現代の柿餅の共通点

家庭ごとに違うとは言え、現代の柿餅には共通点がありました。

昔の柿餅

  • もち米に米粉((うるち)(まい))を加えるため、粉のザラっと感のある口あたり。
  • 干し柿を作る時にむいた皮を干したものを主に使用。柿の実は少し入れる、あるいは全く入れない。

現代の柿餅

  • 米粉は入れない。全てもち米を使用する。
  • 皮だけだと甘みが少ないので、実のみを使用する。

個人的にはあの米粉混じりの感じが好きなので少し残念ですが、干し柿は主に実を使用するというのは納得です。世の中の大多数が、口当たりが良く甘い餅を好むということでしょう。もちろん今でも米粉を混ぜて作っている方もいます。

昔ながらのやり方で挑戦

今回は基本に忠実にということで、以下のようなレシピにしました。

ただし、蒸し器は使わず全工程を餅つき機で行いました。この餅つき機は「蒸す」~「搗く」までの工程が可能なものです。

材料

  • 柿の皮:25g
  • 干し柿(ヘタ付):3つ(68g)
  • もち米:3合
  • 米粉:1合(160g)
  • 片栗粉(餅とり粉):適量

作り方

柿餅の作り方手順の写真が上下2段に配置されており、左上から順番になっている。

作り方の手順

①干し柿をお湯(熱湯)に30分程度浸して柔らかくし、ヘタ、種を取り除き、小さく刻んでおく。

一般にはお湯で戻さず米と一緒に()かすようですが、渋柿は渋戻りといい、加熱により渋みが戻る場合があること、使用した干し柿がカチカチに乾燥しておりヘタや種を取るのが難しかったため、お湯で軽く戻しました。 

②餅つき機でもち米、米粉、柿の皮を蒸す。

使用した餅つき機の米3~4合の場合の蒸し時間は、25~27分でした。渋戻り対策として、蒸し始めて15分ほど経過したところで刻んだ干し柿を加えて蒸し上げました。

③蒸し終わったら、餅が柔らかくならないようヘラでかき混ぜて蒸気を逃がす。

④餅つきを開始する。

⑤搗き終わったら、餅とり粉(片栗粉)の上に取り出し、形をととのえて完成。

⑥固まったら包丁で切れるうちに食べやすい大きさに切って、保存する。

成形に失敗しヘンテコな形になってしまいました。

焼いて食べてみると、ほんのり甘い優しい味。それは紛れもなく柿餅でした。米粉の粉っぽさはあまり気になりません。かと言ってモチモチし過ぎておらず良い塩梅です。

子どもの頃は砂糖醤油を付けた方が好きでしたが、大人になった今は何も付けない方がおいしく感じました。甘いものが貴重な時代は、さぞご馳走だったことでしょう。

作ってみて・・・

柿餅は干し柿が柔らかすぎると(水分量)餅がドロドロになって固まらないことがあると言います。推測ですが、それは恐らく蒸し器を使った場合ではないかと思います。現代の餅つき機は、米を蒸かす際の水の分量が決まっているので、それを守れば失敗することは少ないと思います。また、お湯で戻した干し柿でも問題ありませんでした。むしろ昔より簡単にできるのではないでしょうか。

皿の上に焼いて砂糖醤油をつけた凍み餅が二つのっている

凍み餅

もち米が貴重だった時代、もち米だけの白い餅は主に神仏へのお供えや、特別なハレの日に食べるものとされ、日常ではカサ増しのために、雑穀や豆、(うるち)(まい)の粉などカテ(糧)を入れた餅(南相馬周辺では、「ごんだ餅」と呼ぶところがありました。)を食べました。カテ入りとはいえ、柿餅は甘くて美味しいので人気のある餅だったのではないかと想像します。他にも、つなぎとしてオヤマボクチやヨモギの葉を入れた()(もち)は、カサ増しと保存食の二つの側面を持ちます。

柿の木の写真

「餅を搗く」ことは、忙しい現代において手間のかかる調理法と言えますが、柿餅は干し柿作りから始めなくてはならないので、さらに手間がかかります。柿の木のある家が少なくなっていることも、柿餅作りが過去のものとなりつつある一因かもしれません。

ですが、いざ作ってみると案外簡単です。ぜひ挑戦してみることをおススメいたします。

また、我が家ではこんな風に柿餅を作っていますという情報もお待ちしています。(柿餅に限らず大歓迎いたします。)

(川崎 悠)

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