むかしの道具 変幻自在な風呂敷(令和2年11月1日)

全国でレジ袋の有料化が始まってから約4か月がたちました。みなさん、エコバックを持ってお出かけをしていますか?折り畳み式エコバック、買い物カゴ、以前にもらったレジ袋を再利用するなど選択肢が出てきた中で、昔から使われていた風呂敷が再注目されています。どんな形にも対応して包むことができ、コンパクトに折り畳め、洗うのも楽な、シンプルで応用が利く道具です。
風呂敷を使うのはハードルが高い…と感じる方がいるかもしれませんが、お弁当を布で包んだ経験はないでしょうか?お弁当を水平に持ち運ぶことが出来るのはもちろん、蓋が開くのを防いだり、中身の汁がこぼれていても布が吸ったり、広げてランチョンマットの代わりにしたり、と様々な用途で活躍しています。
絵図から見る風呂敷

奥州相馬氏馬狩図(部分) 当館所蔵
江戸時代の野馬追の様子が描かれた絵巻物の中に、風呂敷を持った人が登場しています。庶民の間で旅行は身近なものとなり、風呂敷をバッグの替わりにしていました。
実際にやってみよう!
それでは、絵図に載っている風呂敷の使い方を再現してみましょう。今回使った唐草模様の風呂敷は四幅(約128センチメートル)くらいの大きさです。
まず、風呂敷の真ん中に包みたい物を置きます。
パタンパタンと布を巻いていきます。箱を包装紙に包むようなイメージで、荷物に合わせてぴったりと巻き込むと綺麗に仕上がります。
あとは、横に伸びている風呂敷の隅を持ってかつぎ、胸のあたりで真結びをすれば、完成です。
(壁などに荷物を包んだ風呂敷を押し当てた後、背中で風呂敷を挟みながら結ぶと簡単です。)


肩に当たっている布の面積が広いため、締め付けもなく痛くありません。手を放しても落ちず、ジャンプしてもあまり形がくずれることはありませんでした。長距離の移動もこれなら安心です。
様々な結び方
結び方をいくつか紹介します。

記念品としての風呂敷
人々の生活の中で重宝されてきた風呂敷は記念品として作られることがありました。
今回は博物館に収蔵されている無線塔に関する風呂敷を紹介します。無線塔は、1921年7月に現在の南相馬市原町区高見町2丁目に完成し、当時はアジアで最も高い建造物でした。現在は、老朽化のため撤去されてしまいましたが、当時の人々にとって、無線塔はシンボリックな存在だったことがうかがえます。


進化する風呂敷
最近では、可愛い柄や、バッグにした時の持ち手の輪っかの販売、撥水加工で雨の日や災害時にはバケツの代わりにも早変わりする風呂敷が発売されており、驚くべき進化を遂げています。新たにどんな風呂敷が出てくるのか楽しみですね。
(樋口 晴菜)

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更新日:2024年04月01日