南相馬の恐竜化石をさがせ!(令和7年10月1日)


写真1 南相馬市から新種として記載されたアンモナイト「アウラコスフィンクトイデス・タイライ」の化石(完摸式標本/当館蔵)
福島県の浜通り地方は恐竜時代の化石が産出することがよく知られています。
とくに有名なのは、フタバスズキリュウの化石が発見されたいわき市です。フタバスズキリュウは中生代白亜紀の地層から発見された首長竜の一種で、全国的にも知名度が高い大型爬虫類です。
そして、その白亜紀よりも一つ古い時代区分にあたるのがジュラ紀です。映画『ジュラシック・パーク/ワールド』シリーズの名前にもなっている有名な時代ですが、じつは南相馬ではこのジュラ紀の化石がたくさん見つかっているのです。
南相馬市から相馬市にかけての一帯では、相馬中村層群という中生代ジュラ紀中期から白亜紀初期にかけての連続した地層が見られます。これらはいわき市の地層よりも、じつに7000万年から8000万年前後も古い地層になります。
相馬中村層群の地層から発見された標本によって、新種の化石として発表された種類は1つや2つではありません。植物化石やアンモナイトなど、平成以降だけでもその数は12種類におよびます(写真1、表1)。さらに、現在も次なる新種とみられる化石の研究が専門家によって続けられています。

写真2 鹿島区小山田地区で見つかった恐竜の足跡化石(平宗雄氏蔵)
南相馬の化石産地の奥深さはそれだけにとどまりません。
市内からは恐竜がいた証拠となる化石も発見されているのです。
写真2は鹿島区小山田地区の栃窪層から見つかった恐竜の足跡の化石です。恐竜の本体(骨など)の化石ではありませんが、間違いなくこの地域に恐竜が生息していたことを示しています。
この化石が見つかった場所は、現在は南相馬市指定天然記念物「恐竜の足跡化石産出地」として保護されているのですが、じつはこのほかに原町区信田沢からも足跡の化石が見つかっています。
1か所だけでなく、複数の場所から発見されているということは、恐竜がいたことが分かる化石が市内からまだまだ見つかる可能性があるということです。
南相馬市博物館では現在、恐竜のいた痕跡を探索する調査事業を福島県立博物館などの専門の先生方と協力して進めています。
今後、新しい発見によって南相馬の持つ新たな一面が分かるようになるかもしれませんが、そのような発見が得られるまでには、地域の方がたの多くのご理解やご協力をいただくことが不可欠です。
今年度は恐竜についての講演会も実施する予定です。広報などでお知らせしますので、ぜひご参加ください。
(仲川邦広)
表1 平成以降の南相馬市から新種記載された中生代ジュラ紀後期から白亜紀初期の古生物

表1 平成以降の南相馬市から新種記載された中生代ジュラ紀後期から白亜紀初期の古生物 (PDFファイル: 622.4KB)
化石関連の「ちょこっと☆みゅーじあむ」バックナンバー
あなたはどんな「タイプ」が気になる?~「タイプ標本」のおはなし(平成29年11月1日)

- この記事に関するお問い合わせ先
- このページに関するアンケート
-
より良いウェブサイトにするために、このページのご感想をお聞かせください。
更新日:2025年10月01日