なんだこれ?――フワフワな物体、市内にあらわる。(平成27年4月1日)

意外と身近にある不思議な存在についてみなさんはお気づきでしょうか。
今回は南相馬市鹿島区で見つけた変な物体をご紹介します。
白くてフワフワしたなにか

画像は鹿島区八沢の海岸近くで撮ったものです。

こちらは鹿島区烏崎で撮影。
なにかの枝に白くてフワフワしたものが付いていますね。
みなさんこれが何だかわかりますか?
答え、「ヨモギクキワタフシ」。
つまり、虫こぶです。名前は私も調べてみて分かったんですけどね。
ヨモギの茎(くき)にできる綿(わた)状の附子(ふし=虫こぶのこと)
という意味です。
なんて単純でストレートなネーミングでしょうか。カッコイイ…
ちなみに写真のヨモギは「オオヨモギ」という種類でした。
虫こぶって何?
虫こぶってそもそも何なのでしょう?
ウィキペディアを見てみるとこんなふうに書いてあります。
(クリックでリンク先へ移動します)
― 虫こぶ(虫瘤、英: gall)は、植物組織が異常な発達を起こしてできるこぶ状の突起のこと。〔中略〕それらはさまざまな寄生生物の寄生によって、植物体が異常な成長をすることで形成される。―
「虫こぶ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
2013年4月7日 (日曜日) 2時6分 UTC
URL: http://ja.wikipedia.org/
うーん、ようは小さな虫たちの揺りかごってところでしょうか。
ゴール(Gall)とも言うようです。
手元の図鑑を調べるとどうやらこのフワフワのこぶの中にはハエの仲間の幼虫が住んでおり、成虫になると外に出てくるようです。
その名も「ヨモギワタタマバエ」。
は、はえ!?
ハエといってもごく小さな蚊のような姿で、ヘタすると存在することにすら気づかれない、人畜無害な種類です。
意外と昔は使われていた
昔は虫こぶもいろいろな種類が人の生活に利用されていました。
ヨモギクキワタフシも例外ではなく、現在でもお灸のもぐさに使われているようです。
なんと、無害どころか有用な生き物(?)ではありませんか!
ただフワフワしているだけじゃなかったんですね!
中から出てきたのは……?
何か話のタネになるかと思ってこの虫こぶを採集することに。
数十分ほど草むらをウロウロ。
遠くから人がこちらをチラチラと見ていたような気がしますが、こういう時はあくまで気のせいだと自分に言い聞かせます。
集めてきた虫こぶは採集した時点でほとんど乾燥していたので、そのまま密閉容器に入れておきました。
しばらく経ってから、今回この話を書くにあたって、もう一度容器を見てみると……?
容器の底に虫が落ちているようです。
これは……?

(右側に写っているのはつまようじの頭)
どうやら虫こぶの中から出てきたようですが……。
何匹もいたのではじめはこれがワタタマバエなのかと思っていたらどうも違うようです。
調べてみるとタマバチ、つまりハチの仲間らしいのです。こぶを自分で作らずに他者の作った虫こぶに卵を産み付けるのだとか。オオー
つまり、居候(いそうろう)ですね。
このタマバチはなぜ居候をするようになったのでしょう、いろいろ空想を広げるのも面白いかもしれません。
主役は見つからなかった
さて、結局この虫こぶの作り主であるヨモギワタタマバエは見つけることができませんでした……ションボリ
時期が悪いのか、たまたまタマバチしかいない虫こぶだったのでしょう。
主役のワタタマバエ、いつか見つけてみたいものです。
この虫こぶ自体は見つけやすいものなので、記事を読んだ皆さんはぜひご自分の目で探してみてくださいね!
博物館の展示ホールでは現在このヨモギクキワタフシを触ることができます。展示ホールまでは無料で入場することができます。ぜひ来てみてくださいね。
(仲川 邦広)

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更新日:2024年04月01日