冬のサカナたち(平成28年12月1日)

更新日:2024年04月01日

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南相馬市のキャラクター郷くんとノマくんのイラスト

 とうとう師走がやって来ました。寒さが身にしみる季節ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 この時期おいしい食べものがたくさん出てきます。南相馬市を含む相双地域は美味しいお魚が旬を迎える季節です。昔は雑魚だったのに今や鍋界の王者の風格を漂わせるアンコウ、以前こちらでも紹介した異形の珍味サッタロウ(ケムシカジカ)、サッタロウ同様、見た目は悪いが味は良いドンコ(エゾイソアイナメ)など…。寒さは辛いですが、味わいの楽しみが増える季節でもあります。 

アンコウの写真

アンコウ

見た目は強面のサッタロウ(ケムシカジカ)の写真

サッタロウ(ケムシカジカ)

なんだか怖いですぞ・・・

 この辺でアンコウと言えば、あんこう鍋よりも「あんこうのとも和え」を思い浮かべる人が多いでしょう。相双地域の郷土料理の一つですが、アンコウの獲れる東北地方では少しずつ作り方は違えど「とも和え」が作られています。
 あんこうのとも和えは、アンコウの肝と味噌、砂糖を炒めたところに湯がいてほぐしたアンコウの身や皮、肝以外の内臓を細かくして入れ、水で戻した切干大根も加えて炒ったものです。切干大根の風味とアンコウが絶妙な味を生みだします。切干大根が入るのは、アンコウのカサ増しのためと言われており、アンコウの身より切干大根の方が多く入っていることも珍しくありません。アンコウが豊富に手に入る漁村周辺では、切干大根は入れずにアンコウだけという家庭も多くあります。
 かつて南相馬市では、田植えが終わった後の「さなぶり」で手伝ってくれた人たちに振る舞う料理のひとつでもありました。

白い小鉢に青じそが添えられた切干大根入りあんこうのとも和えの写真

切干大根入りあんこうのとも和え

お皿に盛られた切干大根無しあんこうのとも和えの写真

切干大根無しあんこうのとも和え

 いわき地方だとワカメが入ることもあります。アンコウで有名な茨城県北茨城市では、「とも和え」ではなく「とも酢」が一般的です。肝入りの酢味噌に茹でたあんこうを付けて食べるもので、漁獲量の多い土地柄ならではの料理と言えます。旬になるとスーパーに並ぶほどポピュラーで、ツウは身よりも皮や胃袋を好みます。

スーパーでパックに入って売られている肝入り酢味噌がついた茹でたアンコウの写真
南相馬市のキャラクター郷くんとノマくんのイラスト

  一般に東日本の年取り魚は鮭、西日本の年取り魚は鰤ですが、この地域の年取り魚として欠かせないのは塩引(塩鮭)と子持ちカレイの煮付けです。煮付けにするカレイはイシガレイという種類ですが、お隣の宮城県ではナメタガレイ(ババガレイ)を煮付けにします。カレイひとつにしても地域性がありますね。塩引もそうですが、子持ちのカレイは暮れになると値がグッと上がります。それでも年取り魚は暮れの食卓に欠かせないものです。

 ドンコは見た目は悪いですが味は美味しい魚で、特に肝が美味です。煮付けはもちろん、すり身にして汁もの、鍋ものにしても美味しくいただけます。

青いお皿にイシガレイの煮つけのレプリカが盛り付けられた写真

イシガレイの煮付け(レプリカ)

ドンコの煮つけの写真

ドンコの煮付け

 私たちがこうして色々な種類のお魚を美味しく食べられるのは、見た目に臆することなくチャレンジした先人たちの勇気ある行動の賜物でしょう。そのことを考えると頭の下がる思いです。
 師走はやることがいっぱいで気ぜわしさも手伝って毎日バタバタしますが、美味しいものを食べて心身ともに英気を養いながら残りの日々を乗り切りましょう。

 さて、2016年の「ちょこっと☆みゅーじあむ」は今回が最後となりました。お読みいただいた皆さまに謹んで御礼申し上げます。来年も皆さまの“ちょこっと”したスキマ時間に「へぇー」と思って読んでいただければ幸いです。2017年も南相馬市博物館と「ちょこっと☆みゅーじあむ」を何卒よろしくお願い申し上げます。

 (川崎 悠)

本年もお世話になりました。来年もヨロシクね
南相馬市のキャラクター郷くんとノマくんのイラスト
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