念願の卵(平成31年2月1日)

その風貌異形にして味わい深い魚「サッタロウ」こと「ケムシカジカ」について、こちらでも何度か取り上げてきました。(「バックナンバー「“サッタロウ"という魚(平成28年3月7日)」、「冬のサカナたち(平成28年12月1日)」をご覧ください。)
サッタロウを知る人は一様に「サッタロウは卵がうまい」と口を揃えるので、いつかその卵にお目にかかりたいと思ってきましたが、その機会がついにやって来ました。先月初め、とある方に卵を持ったサッタロウをお裾分けしていただけることになったのです。ご自身で釣ったというサッタロウは、写真のとおり非常に大きく立派なものでした。

サッタロウ(ケムシカジカ・メス)

卵でお腹がパンパンです。
見た目が怖いとか、グロテスクだとか言われるサッタロウですが、どこか愛嬌があり可愛らしく感じるのは私だけでしょうか。。。
子持ちのサッタロウが手に入ったら、卵を醤油漬けにするのがツウの食べ方です。お裾分けしていただた方に調理法を教わり、早速挑戦してみました。
- まず、卵をお腹から出したら、塩でよく揉んでぬめりを取ります。
- 次にぬるま湯で洗いながらぬめりを流し、卵が包まれている薄皮を取りのぞきます。
- さらに、水の濁りがなくなるまで冷水で洗います。下処理はここまでで終わりです。
- この卵を醤油、みりん、酒の調味液に漬け込み、冷蔵庫で一晩ほど寝かせれば完成です。この調味液は醤油ベースならお好みでオーケーです。醤油だけで漬ける人もいます。
このように書いてしまえば非常に簡単な工程ですが、サッタロウは皮がとても硬く、包丁で捌くのはひと苦労です。よく切れる包丁か出刃包丁を使用されることをお勧めします。背びれもトゲトゲして危険なので手をケガしないように気を付けましょう。
サッタロウの卵はイクラより小さく、硬さがありプチプチとした食感です。しかし、数の子ほど硬くはなく説明が難しい食感。ご自宅でイクラを醤油漬けや塩漬けにした方ならお分かり頂けるかもしれませんが、例えるなら、湯通しし過ぎて少し白く硬くなってしまったイクラとでも言いましょうか。
さて、肝心の味は、イクラよりもクセがなく、優しい味わいで美味。ご飯にも合いますが、お酒のアテにも良いでしょう。
完成したサッタロウの卵の醤油漬けを元に、食品レプリカを作りました。味見よりもこちらの方が本来の目的なのです。今月からエントランスホールに展示する予定ですので、ご興味のある方はぜひ観に来てみて下さい。なお、エントランスホールのみのご見学は無料です。


①サッタロウ(ケムシカジカ)の卵

②塩で揉んでヌメリを取る(上記1)

③ぬるま湯で洗って薄皮を取ったら冷水で濁りがなくなるまで洗い流す(上記2・3)

④醤油、みりん、酒の調味液に卵を漬けて一晩以上冷蔵庫で寝かせる(上記4)

⑤完成

⑥レプリカ完成品
(川崎 悠)

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更新日:2024年04月01日