公園内の小さな建築家たちー身近な虫こぶのはなしー(平成28年8月1日)

更新日:2024年04月01日

ページID: 24930
下半分が蛍光緑色、上半分がオレンジ色の長方形の背景に、提灯やお面、トンボやカブトムシなどの昆虫など夏を連想させるイラストと、鎧兜を身にまとった武将と馬がたくさん描かれているイラスト。

 今回は博物館の周りで見られる生き物たちのお話です。
 南相馬市博物館は県が管理する東ヶ丘公園(あずまがおかこうえん)の中にあります。
 博物館のまわりではたくさんの生き物を見ることができますが、その中には毎日公園をお散歩している人でさえ、ほとんど気付いていない生き物もいるはずです。

 ヤマザクラ・フジ・エゴノキ・イタヤカエデ・ケヤキ・ヘクソカズラ・クリ・・・・・・
 花や紅葉がよく目について公園の中のどこでも見られる植物たちですが、よく見るとこれらのあちこちに小さな生き物が生活しているのを見つけることができます。それは「虫こぶ」です。植物の表面に住み着く虫たちがつくる家であり、エサでもある、不思議な構造物です。
 (注意)「虫こぶ」については以前「なんだこれ?――フワフワな物体、市内にあらわる。(平成27年4月1日)」でもご紹介しましたので、そちらもチェックしてみてください。
以前ご紹介した虫こぶは比較的海の近くで見られましたが、公園の林の中でもたくさんの虫こぶを見つけることができます。

ヤマザクラには「サクラハトサカフシ」(サクラフシアブラムシ)

ヤマザクラの葉っぱの上にピンク色の「サクラハトサカフシ」(サクラフシアブラムシ)がいる写真。
ヤマザクラの葉っぱの上にピンク色の「サクラハトサカフシ」(サクラフシアブラムシ)がいる写真のアップです。

フジにはフジハフクレフシ(タマバエの仲間)

黄緑色で小さな半円の形をしたフジハフクレフシ(タマバエの仲間)の虫こぶがフジの葉の上に乗っている写真。
フジハフクレフシ(タマバエの仲間)の幼虫の写真。

 

エゴノキにはエゴノネコアシ(エゴノネコアシアブラムシ)

エゴノキの葉っぱの茎の方に黄緑色のエゴノネコアシ(エゴノネコアシアブラムシ)の虫こぶがいくつも集まっている写真。
黄緑色の虫こぶとその中にいるエゴノネコアシ(エゴノネコアシアブラムシ)のアップ写真。定規が下に添えられており、虫こぶの長さは約2.5センチメートル。

イタヤカエデにはイタヤカエデハツノフシ(フシダニの仲間)

紅色の茎をもつイタヤカエデの葉っぱにとても小さなイタヤカエデハツノフシ(フシダニの仲間)の虫こぶ乗っている写真。
紅色のような、イタヤカエデハツノフシ(フシダニの仲間)の虫こぶのアップ写真。

ケヤキにはケヤキハフクロフシ(ケヤキヒトスジワタムシ)

ケヤキの葉にくっついている、黄緑色でつぼみのような形をしたケヤキハフクロフシ(ケヤキヒトスジワタムシ)の虫こぶの写真。
虫こぶの断面のアップ写真。中には薄透明い黄色をしたケヤキハフクロフシ(ケヤキヒトスジワタムシ)がたくさんいます。

ヘクソカズラにはヘクソカズラツボミマルフシ(ハリオタマバエの仲間)

ふわふわとした見た目をしている、ヘクソカズラにくっついているヘクソカズラツボミマルフシ(ハリオタマバエの仲間)の虫こぶの写真。
ヘクソカズラにくっついているヘクソカズラツボミマルフシ(ハリオタマバエの仲間)の写真のアップ。

 

クリにはクリメコブズイフシ(クリタマバチ)

クリの葉の茎の近くにくっついているクリメコブズイフシ(クリタマバチ)の紅色の小さなボールのような虫こぶの写真。
ボールのような虫こぶを半分に割った写真。中には透明な色をしているクリメコブズイフシ(クリタマバチ)が2匹います。

あれも虫こぶ、これも虫こぶ・・・・・・、探し始めると次々と見つかります。
見つかるたびに「こんな虫こぶがあったのか」と毎回驚かされます。
最初は奇妙な形で不気味にも感じましたが、見慣れてくるとその形が本当にさまざまでとても面白くなってきます。
 赤い長ふうせんのような形、ピンクのひょうたんのような形、他にも、平たいボタン、バナナの房(ふさ)、青いミカン、つまようじの先端、赤いボール、それに「わたあめ」のような形・・・・・・本当にさまざまです。
 こんなにも多彩な虫こぶを作る虫たちですが、その反面に面白いのは、中に住む主人である彼らがとても地味な姿をしているということです。アブラムシの仲間など、図鑑で見ても他の種類と見分けることは私にはとてもできないように思います。
  他のアブラムシやタマバエなどと見分けることができなくても、彼らの作った虫こぶなら簡単に種類を見分けることができます。
  人に例えるなら、顔がそっくりで見分けのつかない建築家さんがいて、普段はまったく同一人物のようなふりをしているのに、いざ彼らの作った建物を見ると、材料やデザインが全く異なるので初めて別人だとわかるようなものです。
  「見かけじゃないんだ、作ったもので評価してくれ」という主張が聞こえるようです。芸術家のようにも思えますね。

 普段は気が付かない虫こぶですが、それらをよーく観察してみると、小さな虫の種類のひとつひとつの存在をはっきりと感じることができます。見ためはパッとしませんが、植物を使って多彩な形を作ってしまう小さな建築家たちに脱帽です。

(仲川 邦広)

いちばん最初に出てきた画像と同じイラスト。下半分が蛍光緑色、上半分がオレンジ色の長方形の背景に、提灯やお面、トンボやカブトムシなどの昆虫など夏を連想させるイラストと、鎧兜を身にまとった武将と馬がたくさん描かれています。

 

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会 文化財課 博物館

〒975-0051
福島県南相馬市原町区牛来字出口194

電話:0244-23-6421
ファクス:0244-24-6933
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